屋上屋

屋上で小屋を建てている

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

山本浩貴『現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル』、中央公論新社、2019

現代美術について書かれたものは日々増えていくけれど、「現代美術史」とその名に冠するものはなかなか書かれない。それは「現代美術史」を記述することの困難さに起因するところ大で、きわめてまっとうな理由があるわけだけれど、とはいえ、なんらかのきっ…

黒島追想

「黒島」と名のつく島は日本にいくつかある。今回書きたいのは、長崎県佐世保市に所属する黒島のことだ。 (ここです) 現在の居住者は五百人ほど。それほど小さくはなく、しかし決して大きくもない。本土からはフェリーに乗って1時間足らずで着く。やはり…

わからぬものの肌に触れる

最近ツイートしたことに関連して思ったこと、忘れたくないので、エントリとしてまとめなおそうと思います。 別になんら新しい思いつきではないから、再確認のためのメモのようなもの。屋上屋。再三語られてきたことについて語り直すこと。 かつて知人が行っ…

生き延びるための仮組み

出口なし それに気づける才能と気づかずにいる才能をくれ 中澤系 きみは、どうして生きているんだい? こう問われたとき、明瞭に答えを返すことのできる者はどれほどいるだろうか。 他でもない自己自身を、ひとまずのあいだは生かし続けること、これは自明の…

不確かなものについて考え続けることの倫理的要請とその苦しみ

ぼくは、いわゆる人文学をやっている人間だ。もっと正確に言えば、その門前に立っている、といったくらい。人文学とひとくちに言ってもその内実は様々であって、色んなことをやっている人々がいる。ぼくのディシプリンは(おそらく)芸術学だ。芸術学をディ…